概算は仮説にすぎない:ふたりの距離の概算
氷菓からはじまる、古典部シリーズである。学校で起きる事件などを古典部が解決していくということが大まかなストーリー。
アニメにもなっていて、京都アニメーションスタジオが制作をしており、絵もきれいな映画なのでぜひ見て欲しい。
ホータローの観察眼の素晴らしさ
この物語の主人公のホータローは自ら省エネ主義を謳う、”やるべきことは少なく、やらなくてはいけないことは最小限”という考え方で動くのだが、推論に関していえばその才能はずば抜けている。事件に際したときに、これまでの発言の記憶の呼び起こし、事象の観察力の高さ、仮説構築の速さ。どれをとっても秀でている。
今回の事件においてもマラソンをはしり?歩きながらも、過去に起きた事象を思い返し、違和感に対して仮説を構築していく。その仮説構築を一緒に体現できるのはこのシリーズの面白さ・醍醐味であると思う
ホータローがはじめて見せるロジックでない賭け
ホータローはいつも思い込みを捨てて、その場の確たる証拠からしか推論をしないのだが、今回の話ではある賭けを行っている。その賭けは千反田えるを信じているからこそできた賭けであり、シリーズ通してのホータローの変化がここにきてあられつつあるのもこの話からは感じ取ることができた。
バイアスをかけずに人のことを見ることはできない
しかもそれはお互いに言えることだ。自分が相手に対してどう思ってるかはわからないし、相手がどう考えてるかなんてもっとわからない。そのふたりの距離の概算が誤った結果起きた事件であった。
☆3
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/06/22
- メディア: 文庫
- 購入: 7人 クリック: 203回
- この商品を含むブログ (92件) を見る